近年ペットとして人間と一緒に暮らすようになった犬は、
物理的には同じ空間に一緒に暮らしているが、
それぞれ違う感覚を持ち、
別の世界に生きている。
このような文章が目に止まったので、
犬の感覚世界を知るために書き出してみました。
◯人間は視覚から入ってくる情報が主役。
◯犬は嗅覚からの情報が主役。
◯犬の視力は薄暗い場所では人間よりずっとよく見える。
◯しかし、明るい光の下では人間より劣る。
◯正常な人間の視力を1.0だとすると
◯犬の視力は0.25くらい。
◯犬の聴覚は人間に聞こえない高い音や小さなを聞き取ることができる。(犬笛など)
◯人間が聞こえない高い音の騒音でも犬にとって苦痛になっている場合もある。
(金属の擦れ合う音など)
◯ほとんどの犬は若くても30センチから50センチより近い場所に焦点を合わせることができない。
(人間と同じで年齢とともに焦点距離は遠くなっていく)
◯30センチ以内に近づくと嗅覚が視覚の代わりに出番となる。
◯犬と人間は同じ景色を見ていてもほとんど同じだが違いがある。
木の葉や草の緑色が、赤や黄色の花と同じような「灰緑色」に見えている。
◯犬の特質である嗅覚で感知できるニオイの種類は無限であるかのように多い。
人間はその能力を古くから現代まで利用してきた。
昔は
・狩りで獲物の匂いで追う。
・トリュフを匂いで見つける。
現代では
・犯罪捜査(犯人探し、麻薬など)
・遭難救助
・各種のガンの発見(卵巣腫瘍、膀胱腫瘍などなど)
・ヒツジに感染する線虫
◯犬の湿った鼻には圧力と温度のセンサーがぎっしり詰まっている。
この鼻によって風向きを知り興味のある匂いの方向を瞬間的に判断している。
◯犬が他の動物を識別する第一の方法は匂いをかぐこと。
犬同士が出会うとお互いに『犬の耳の後ろや肛門のう』の匂いをかごうとグルグル回ったり、一方的に追いかけまわしたりすることがあります。
一番の目標は『肛門のう』で、個々の犬で大きく異なる刺激性の匂いでダレなのか嗅ぎ分けます。
出会った犬の匂いを一生懸命嗅ぐ行動は、マーキングされた電柱などに付けられている匂いとのマッチングを確かめるためにも行われているとも言われています。
キチンとしつけることで防ぐことが出来ますが、自分の犬が人と会うたびに股間の匂いを嗅いで困ることがあります。
これは犬にとって相手を識別する第一の選択肢なのだから仕方ないとも言えます。
でも、ヤメて欲しいですね!
◯犬は一緒に暮らしている人の匂いの変化によって、その人の気分の変化も判断できるようです。
特別な訓練によって、てんかん患者や、不安定型糖尿病患者が、発作や低血糖症を起こしそうになると知らせることもできるそうです。
これは飼い主の匂いの変化に反応しているのは、ほぼ間違いないらしいのです。
犬は飼い主の微妙な匂いの違いで、自分たちも気づいていない感情の変化に反応していると思われます。
犬が初めて出会ったときに一番したいこと、相手の匂いを嗅ぐという行動を衛生的ではないという理由で、させてあげない人が居ますが、それは犬にとって挨拶をしないで無視をするくらい無礼なことのようです。
身体の小さなチワワと大きなレトリバーが出会ってもお互いの匂いを嗅ぐことで対話ができるのは犬ならではのコミュニケーションですね!
(もちろん攻撃的ではない犬の場合です。)
◯犬と人間の大きく違うところは、『聴覚』と『嗅覚』です。
飼い主が無頓着に金属をぶつけて出す音【超音波】で犬の耳をひどく痛めつけていたり。
当たり前に使っている、洗剤、柔軟剤、芳香剤の、犬にとって強烈な匂いに、その敏感な鼻が我慢を強いられていたりするのです。
しかし、人間との強いきずなを感じる犬は一緒に暮らすためには避けられないこととして受け入れているようです。
参考書籍
『犬はあなたをこう見ている』
鋭い嗅覚で一緒に暮らす人間の感情の変化を読み取りながら共存しているとしたら、 犬は気遣いのできるとても良いパートナーですね。